10月下旬, 友人たちと 信州-甲州を訪ねて歩いた。 目的は 発祥の地探し。
私のために貴重な時間を割いてくれた K.T.さん, M.K.さん, T.K.さん に感謝!
データの整理に手間取っていて, 公開するのが予定よりだいぶ遅れている。
今回は 長野県伊那市に見つけた5個所の発祥の地。
行者そば発祥の地 (伊那市)
ADSL発祥の地 (伊那市)
伊那節発祥之地 (伊那市)
ローメン誕生の地 (伊那市)
伊那市商業発祥の地 (伊那市)
【行者そば発祥の地】
伊那市の中心部から木曽駒ヶ岳に登る登山道の途中にある 駒嶽神社に碑があった。
ここで毎年“行者そばまつり”が行われるという。
なかなか立派な石碑で,地元の力の入れ方が見えるようだ。
近くに「梅庵」というそば店があって,そば好きたちがよく利用しているようだった。
我々が昼食に立ち寄った時にも 多摩ナンバーの車で食べに来ている人がいた。
こんなに交通の不便な 過疎の村落で そば店がやっていけるというのは 驚嘆すべきことだ。
「好事家」という言葉があるが,「好き」というのは大変なことなのだ。ハタから見れば
単なるモノズキにすぎないが,大勢集まれば そば店をソコソコ維持していく経済力となる。
・・・もっとも「発祥の地探し」 なんて趣味も 他人からみれば バカみたいなもんだろうが...
【ADSL発祥の地】
ADSLは どこから始まったか。 その答は意外なところにあった。 長野県伊那市。 1997年。
当時 NTTは ADSLの導入に非常に消極的だった。
電話局からの距離によって 回線速度がどんどん遅くなる。
最低の回線速度が 全く保証できない。
そんな不安定で 不確実な通信回線は 電電公社の長い歴史を持つNTTが手がける仕事ではない....ということだったのだろう。
しかし, その後の ADSL全盛期を NTTは どう説明するのか。
NTT の協力もなく, むしろ邪魔をされながらも ADSL の実証実験に手を挙げ, がむしゃらに突き進んでいった
「いなあいネット」は 称賛に値する。
あれから10年。 たまたま この10月17日に 発祥碑の除幕式があったことを知ったので, 急遽 5日後にここを訪問した。
実は, 除幕式の直後に現地を訪問した発祥の地は, 今までに 5件ほどある。
「日本野球発祥の地」
「講談高座発祥の地」
「宇宙開発発祥の地」
「日本ビーチバレー発祥の地」
「川柳発祥の地」
常にアンテナを張って 新聞記事やインターネットの記事などを監視していたタマモノ。
【伊那節発祥之地】
伊那節に これだけの歴史があったとは, 今回現地に行ってみて初めて知った。
地図の上で見る限り, 伊那と木曽は 中央アルプスで隔離された地域だが, その山脈を越えて 馬が通れる道(権兵衛峠)を開き, 伊那で作られた米を木曽に運んだ。 その馬子唄が 伊那節の発祥の由来であるという。
伊那節には いろいろな歌詞がある。
私が子供のころに聞いたのは (2) だった。 三橋美智也の歌うレコードは たしか (2)の歌詞だったような。
(1) 木曽へ木曽へと つけ出す米は
伊那や高遠の
伊那や高遠の なみだ米
(2) 天竜下れば 飛沫がかかる
持たせやりたや
持たせやりたや桧笠
(3) 天竜下れば 飛沫がかかる
持たせやりたや
持たせやりたや桧笠
【ローメン誕生の地】
わざわざローメン発祥の店の前まで行ったのに, 実際に食べてみなかったのは
かえすがえすも残念だった。
伊那の町は ローメンを食べさせる店が 至る所にあるらしい。
“行者そば”にせよ“ローメン”にせよ, 「おらが町の名物料理」への力の入れ方は
すごい。
伊那に限らない。 宇都宮の「ぎょうざ」, 富士宮の「焼きそば」などなどナド・・・
【伊那市商業発祥の地】
碑を見ただけでは これが何の発祥を表しているのか分からなかった。
やむを得ず 伊那市役所に電話で問い合わせてみた。
説明をしてくれた市の担当の方も あまりよく分かっていない様子で, 1時間以上も
調べてくれた。 その結果, 本文に書いたような事情を説明してもらった。
伊那街道と権兵衛街道という 二つの街道が交差することになったため, 伊那橋が
伊那の町の中心となって 商店街が発展して行った... とのこと。
この種の碑は その背景にある歴史とか 由緒が大切なのだから, ちゃんと碑文として
書き残してもらいたいものだ。
地元の人ですら背景がわからない 発祥の地 では せっかくの碑が 泣いてしまう
だろう。 宝の持ち腐れである。